主人は事業をしており、私はパート勤めをしていて夫婦共働きです。主人の事業が不景気のあおりを受け、少し資金を必要とすると相談を受けました。自営業の夫が消費者金融業からキャッシングをすることが難しいということで、私が夫の代わりにキャッシングに行って欲しいということだったのですが、私が夫の代わりに借りるということができるのでしょうか。
(⇒パートでお金を借りる術とは?

夫婦関係だと言っても、代理してのキャッシングは避けるべきです

誰かの代わりにキャッシングをするということは一体どういうことでしょうか。消費者金融でキャッシングをする方の名義は誰になるのでしょうか。「代わりに借りる」という事態がにわかに理解できない、特定できないのですが、考えられることの一つは自分が連帯保証人等の保証人になってキャッシング利用をするということ。もう一つは自分がキャッシングするということの2つになるでしょうか。

通常消費者金融でのキャッシングに保証人は不要であることが原則です。もともと消費者金融業は無担保・無保証人による、個人向けキャッシング・ローンの販売なのです。ですから、消費者金融を利用するときに保証人や担保を必要とすることはありません。この原則を踏まえたキャッシングで実現するなら、一旦自分がキャッシングを受けてその利用を相手に委ねるということになるでしょう。

つまり誰かのキャッシングをするということは、それが夫婦間であっても、自分がキャッシングをしてからそのキャッシングを相手に渡すという手順になります。このことはつまり消費者金融からキャッシングしたのは自分自身であるということになるのです。キャッシング利用の名義は自分自身であり、返済義務も自分で引き受けることになってしまいます。代理キャッシングは自分の借金に過ぎません。

貸金業法での取り決めがあるのは、利用者の年収を基本に定められています。夫婦の場合、総量規制の例外として夫婦二人分の年収合計の3分の1までキャッシングすることができることになっています。しかし、そのために、配偶者の同意書や婚姻関係を示す書類等の提出を必要とします。この手続きは一般的なものではないため、消費者金融業者でも対応してくれないところがほとんどのようなのです。

このようなことを取り決めている法律は貸金業法という法律です。すべての消費者金融業者はこの法律によって各都道府県知事あるいは内閣総理大臣による登録を受けることが義務づけられているのです。そして貸金業法とその関連法律によって業務の全体が規制を受けることになっているのです。またこの貸金業法による登録を受けていない貸金業者をヤミ金融というわけです。

貸金業法は、貸金業への参入条件を厳しくしているだけではなく、業者の行うさまざまな行為について厳しい規制を課しています。取り立て時間の制限、生命保険を担保にするキャッシングの禁止などについていちいち法律の制限を受けるのです。そしてこの法律によって総量規制が定められているのです。このことから大手の消費者金融業では保証人が必要な契約を警戒しがちになっているようです。

連帯保証人になるということを簡単に考えることは危険です。連帯保証人とはキャッシングの利用者と運命共同体になるからです。よほど自分の収入がしっかりしており、キャッシングを肩代わりできるほどであれば、自分の資金からキャッシングをするほうがまだすっきりしていると言えることになるでしょう。夫婦とはいえ、厳密に規制された法的行為に入ってしまうのですから、充分な注意が必要だと考えるべきでしょう。

【参考ページ】
通常の消費者金融なら保証人は特に不要です

消費者金融を代わりに借りる。これって問題ないの?

消費者金融は非常に便利な存在であり、現代では一般労働者の5人に1人が利用しているとも言われています。しかしこれは誰でも利用できるというようなものではありません。

しっかりとした返済能力があるということはもちろん、これまでに金融事故を起こしたことがあるというような人なのであれば、貸し付けをしてもらえる可能性は限りなく低くなってしまいます。そうした理由で利用を断られた場合には、その原因を取り除いてから再度審査を依頼するべきとなるのですが、中には親や友人、知人と言ったような人の名義を使ってお金を借りようとする人がいるのも事実です。

それではこのような「本人以外の人が代わりに借りる」という使い方は問題ないのでしょうか。これは「行ってはならない行為」のひとつであると言えます。

そもそも消費者金融でお金を借りるという際には、その金額の多寡にかかわらず「借金の契約を結ぶ」ということになります。そして契約を結ぶというような場合、その契約で発生する義務や責任を負うのは、契約の名義人と言うことになってくるのです。本人が消費者金融を利用できなかったため、友人や知人が代わりに借りるというような形で利用をしてしまうと、借りたお金を利用するわけではない知人や友人に対して、借金の義務や責任が生じることになります。

もしその借金が返せなくなったというような場合であったとしても、その責任を問われるのは名義人なのです。名義人からしてみれば「実際にお金を使ったのは自分ではないのだから、自分が責任を取る必要は無い」というように主張をしたくなるのですが、法的には名義人となっている以上、責任を負う義務が生じてしまいます。

場合によっては責任の有無について裁判まで発展することもありますし、それが原因で債務整理などを行ったのであれば、実際には自分が借金をしたわけではないのに、その人が金融事故を起こした人だとして記録されてしまうのです。

一度こういった消費者だと見られるようになってしまうと、信用回復までには長い時間がかかりますから、友人や家族の代わりにお金を借りるというようなことは、絶対にしないようにしましょう。
(⇒一度でもブラックな扱いを受けると大変です